ガソリン車の誕生から130年以上経過し、ここ最近では電気で走る電気自動車(EV)が街中を走る光景をよく目にするようになりました。
地球環境に配慮する意識の高い人を中心に購入や検討している方もいるのではないでしょうか。
でも、電気自動車(EV)はガソリン車よりも購入価格が高い買い物だけに、購入前には必ず基礎知識やメリット・デメリットを正しく知っておかないと後悔します。
そこで、電気自動車(EV)に関する基本情報とメリット・デメリットについてお伝えします。買い替え、乗り換えのご参考になれば幸いです。
電気自動車(EV)にはどんな種類があるのか
電気自動車とは、文字どおり電気の力で走るクルマのことです。「Electric Vehicle」を略して「EV」という名称で一般的に呼ばれています。
エンジンを積んでガソリンを入れて走る自動車とは全く異なり、電気自動車は電気を充電し、電動モーターの力を活用してクルマ本体を動かしていきます。
電気で走る電気自動車の他にも、現在ではクリーンエネルギー車としていろいろな種類があります。その主なものをご紹介していきます。
エレクトリックビークルカー(EV・BEV)
「EV」とは「Electric Vehicle」の略、BEVとは「Battery Electric Vehicle」の略で、どちらも電気自動車です。主に自宅や充電スタンドなどで車載バッテリー(Battery)に充電を行い、モーターを動力として走行するクルマのことです。
エンジンを使用していないため、走行中、二酸化炭素を排出せず、環境性能においてはエコカーの中でも最もクリーンエネルギー車と言えます。
一軒家のご家庭では夜間電力などを上手に活用して充電することで、ガソリン車よりもランニングコストを低減できるケースもあります。
EVの代表車種
bZ4X(トヨタ)リーフ、オーラ、アリア(日産)、ソルテラ(スバル)
ハイブリッドビークルカー(HV・HEV)
HVとは2つ以上の動力源を持つ自動車のことです。日本では一般的に、エンジン(内燃機関)とモーター(電動機)を備えたハイブリッド車のことをいいます。
車種によって差はあるものの、エンジンのみ・モーターのみの走行、エンジンとモーターを同時使用した走行ができるものがあります。
エンジンのみの走行の際は発生する余ったエネルギーで発電をして、モーターを動かすため、ガソリンを消費しない走行が可能となります。ガソリン車より多少なりとも燃費が良いという特徴がHVにはあります。
EVの代表車種
ハリアーHV(トヨタ)ヴェゼルe:HEV(ホンダ)
出典:https://toyota.jp/harrier
プラグインハイブリッドビークルカー(PHV・PHEV)
電気自動車(EV)とハイブリッドビークルカー(HV)の長所をミックスしたハイブリッドカーのことです。プラグインハイブリッドエレクトリックビークルカー(PHEV)と呼ばれることもあります。
電気でもガソリンでも走行可能なので、電池切れが原因でクルマが走行できなくなる心配がありません。近距離からロングドライブまで安心して走ることができます。
PHVの代表車種
プリウスPHV(トヨタ)、アウトランダーPHEV(三菱)
出典:https://www.mitsubishi-motors.co.jp/
燃料電池自動車(FCV・FCEV)
燃料電池自動車は、水素と空気中の酸素の化学反応によって燃料電池で発電した電気を使って、モーターの動力でクルマを走らせるクリーンエネルギー車です。
「Fuel Cell Vehicle」を略して「FCV」と呼ばれております。水素と酸素の力で走るので、走行中に二酸化炭素は全く排出されません。
燃料電池自動車(FCV)としてはトヨタのMIRAIが2014年に発売されています。
FCVの代表車種
MIRAI(トヨタ)
出典:https://toyota.jp/mirai/compare/
水素ステーションは、まだ街中ではあまり設置場所が少なく、これからの課題です。2021年6月現在、全国では147ヵ所の水素ステーションが開業しています。
水素ステーションの建設費用には、約5~6億円かかります。通常のガソリンスタンドの建設費用が7~8千万円なので、およそ7倍以上の建設コストがかかります。
水素タンクは、空き容量にもよるが、充填時間はガソリン車と同様に3~5分程度で満タンになります。ただし、資格をもった人が充填することとなります。
値段は2021年6月現在で1,100円/㎏(税別)となります。日常的には4~5㎏の水素充填で約5,000円前後(税別)で満タンになります。
その他クリーンディーゼルカー(CDV)
軽油を燃料として走る車です。軽油はガソリンと比較しても価格が安く、二酸化炭素排出量も少ないです。また、高い燃費効率と力強い加速が魅力として、近年注目を集めています。
CDVの代表車種
CX-5,CX-8(マツダ)、ミニクーパーD(MINI)
「環境にいいクルマ」というと、真っ先に電気自動車を連想します。でも、実は電気自動車といえども、さまざまなの種類のクルマが存在していることがお分かりいただけたかと思います。
このようなクリーンエネルギーカーは、環境問題やエネルギー問題への意識の高まりとともに、着実に毎年増加傾向にあります。中国のEVメーカー(BYD)がいよいよ日本市場に参入してきました。
国内外各メーカーのEVは、機能や性能、燃費とコストパフォーマンスも異なります。その違いをよく把握して、自分の使い方にベストなEVを選択すると後悔はしないでしょう。
電気自動車(EV)のメリット・デメリットとは
二酸化炭素を排出しないことから、環境に優しいと言われる電気自動車です。でも、他にはどんなメリットがあるのでしょうか。
また、購入を検討する際、メリットだけではなく、デメリットも把握しておきましょう。
電気自動車(EV)のメリット
二酸化炭素(CO2)を排出しないので、環境に優しい
電気自動車のメリットとしてあげられるのは環境に優しいことです。ガソリンの代わりに電気で走るため、二酸化炭素(CO2)を排出しません。地球環境のためにも、更なる導入の増加が予想されています。
走行音や振動が少なく、加速もスムーズ
ガソリン車はエンジンを稼動させる必要があるため、どうしても振動や音が発生してしまいます。それに対して電気自動車は、エンジンを搭載していません。バッテリーとモーターのみの走行なので、走行音や振動も少なく、加速もレスポンスが良くてスムーズに行えます。
ランニングコストがいい
ガソリンの代わりの電気で走ることから、かかるのは電気代のみということになります。同じ距離を走行した場合、ガソリン代よりも電気代のほうが安くなる可能性が高いです。
また、充電用コンセントやスタンドを所有しているのであれば、深夜料金が割安になっている電気料金プランに切り替えて深夜のみ充電するようにすれば、電気代を更に安くできるでしょう。
自然災害などで停電した際に蓄電池として活用できる
近年、地震や台風などの自然災害を原因とした停電が頻発しておりますが、そんな非常事態でも電気自動車を非常用電源として活用することもできます。もしもの時も安心ですよね。
ただし、欧米の電気自動車には蓄電池に対応していない車種があります。蓄電池を最優先で購入検討する方はご注意ください。
補助金・減税が適用される
電気自動車を購入する場合、補助金・減税が適用されます。この補助金・減税にはさまざまな種類があり、車種やあなたの住んでいる自治体によっても条件が異なります。
また、国の補助金と自治体の補助金は重複して申請できます。なので車両本体価格をかなり安く購入することができる可能性もあります。どの補助金・減税が対象になるのか購入前によく調べてみることをオススメします。
補助金の適用を受けられたとしても、契約時点では補助金適用分を含めて見積額の全額持ち出しが必要となります。なお、補助金は数ヶ月経過後、あなたの口座へ振り込まれます。
契約時点で、すぐに補助金が適用される(値引き)と思わないでください。また電気自動車(EV)は見積金額を支払うことを念頭に
また、国や自治体の補助金、減税額は、年度内の予算が枯渇してしまえば、まったくその恩恵に預かることができません。早い者勝ちです。
必ず、契約前にはどのタイミングで申請できるのか、予算はあるのか否かディーラーの営業マンによく相談してから購入に踏み切りましょう。
電気自動車(EV)のデメリット
販売価格が比較的高い
電気自動車の車両価格は、ガソリン車と比較しても高い傾向にあります。メリットのひとつとしてもあげたように、補助金・減税の活用は可能です。
しかし、車両価格の高さが障壁となり、購入に踏み切れない方もおります。
充電に時間がかかる
ガソリン車がガソリンを給油する際は5分程度で完了してしまいます。しかし、電気自動車は数十分から数時間ほど充電に時間がかかることもあります。
自宅に充電器などがなく、充電スタンドで充電を行う場合は、充電が完了するまで待ち続けなければなりません。
また、急な外出予定が出来てしまったときなど、電池残量を気にしなくてはならず、不向きと言えるでしょう。
航続距離に不安要素あり
電気自動車はガソリン車と比べると航続距離が短い傾向にあります。
航続距離とは、ガソリンや電気などの燃料を満タンにしてから走行できなくなるまでの距離です。
近所に買い物に行く際や定期的な通院などには向いています。でも、長距離運転をする機会の多い方にとってはまだ不安材料となっているようです。
近年は航続距離の長い電気自動車も多く発表されています。用途にあわせて選べば、航続距離が短いというデメリットも解消されるでしょう。
冬場(寒冷地)はバッテリーの性能が維持しにくい
確かに二酸化炭素を排出をしないなど環境にやさしいのが特徴ではあります。でも、おそらく不安要素の中で実はこれがEVの最大の欠点かもしれません。
残念ながら、各メーカーとも販売戦略にかかわる問題であることから、あまりメディアで取り上げる機会は少ないように感じます。
電気自動車(EV)の充電の種類と充電環境
電気自動車の充電方法には、主に「普通充電」と「急速充電」があります。
普通充電
「普通充電」には、単相交流100Vコンセントもしくは200Vコンセントが使用され、充電設備は「コンセントタイプ」と「充電ケーブル付き」の2種類から選べます。
充電器の種類や車種、V(ボルト)、航続距離にもよりますが、充電には5~8時間程度必要です。導入のコストが比較的少ないため、自宅や会社、宿泊施設などによく設置されているのを見かけたりします。
急速充電
「急速充電」は、電源に3相200Vを使用しています。充電器の種類や車種、航続距離によって異なりますが、一般的には約30~40分で80%程度までの充電が可能です。
普通充電よりも強い電流と電圧を流すことで、短時間での充電を可能にしています。外出時の継ぎ足し充電や、緊急時の充電向きです。
高速道路のSAやPA、道の駅、ガソリンスタンドなどによく設置されています。
普通充電と急速充電は、充電にかかる時間や設置場所に違いがあります。タイミングや航続距離などによって使い分けてEVドライブを楽しみましょう。
充電はどこでできるの?
電気自動車の充電は、充電スポットもしくは自宅に設置した充電器で行います。
今までは「充電スポットが少ない」という不安を持っている方も多くいましたが、実は2018年の時点で、充電器の総数は日本全国で29,971基にものぼります。
主に、コンビニやデパート、スーパーなどの商業施設や、宿泊施設、SA・PA、ガソリンスタンドなどに設置され、現在ではスマートフォンのアプリなどで検索することもできます。
充電スポットは、今後も増加すると予想されています。「充電スポットが少ない」という問題は、徐々に解決されつつあるようです。
また、自宅に充電器や充電スタンドを設置する場合は、さらに補助金や減税を受けられる可能性もあります。電気自動車を購入するのであれば、充電スタンドの場所、自宅に設置した場合と充電スタンドで定期的に充電する場合のどちらにメリットがあるのか、あわせて検討してみることをおすすめします。
バッテリーの寿命は長いのか、それとも短いのか
電気自動車は搭載しているバッテリーにためた電気で走行するため、劣化や寿命が気になる方も多いかもしれません。
バッテリー本体も技術開発などによって、劣化しにくくなっています。さらに、保証期間内で一定以上の劣化が認められるのであれば、交換してもらうことも可能です。
例えば、日産の「リチウムイオンバッテリー容量保証」であれば、30kWh駆動用バッテリーは8年16万km容量保証・24kWh駆動用バッテリーは5年10万km容量保証とし、新車登録からの期間もしくは走行距離のどちらか早い方を保証しています。
電気自動車のバッテリーを劣化させないことは難しいものの、一定の期間・走行距離に達するまでは安心して電気自動車(EV)に乗ることができるでしょう。
実際の航続距離はどれくらいなのか?長距離運転に不向きなのか?
電気自動車は、「一度の充電でどれくらいの距離を走れるのか心配」「長い距離を走れないのでは?」と思われがちですよね。
以下の表を見てみると、車種によって異なりますが、満充電で約200km~500km程度の走行が可能であることがわかります。
電気自動車(EV)航続距離
自動車メーカー | 車種(バッテリー容量) | モード | 走行距離 |
---|---|---|---|
日産 | ARIYA B6C40(2WD) (66kWh) |
WLTCモード | 470km |
VOLVO | Recharge TWIN (79kWh) |
WLTPモード 【欧州仕様参考】 |
438km |
三菱 | eKクロスEV (35kWh) |
WLTCモード | 180km |
※走行距離はおおむね80~90%程度と考えておいた方がよいでしょう。
また、バッテリーを保護するため急速充電は制限がかかるようになっているようです。
自動車・蓄電池メーカーなどの技術開発によって電気自動車の航続距離は伸びているため、長距離・長時間の運転も可能になってきた感じです。
一方、50km未満の日常使い的な運転であれば、バッテリー切れの心配がほぼ無くなったと思われます。
電気自動車の航続距離は、技術開発や機能や性能の向上によって今後さらに伸びることが予想されます。途中で充電をしなくても走行可能な範囲(電池性能向上)が広がり、今後は、より身近な乗り物に近づいていくことでしょう。
まとめ
現状、電気自動車(EV)を所有したい場合、一軒家にお住まいでガレージがあれば、補助金を活用して充電環境(夜間電力活用)を整えるのが得策かもしれません。
長距離ドライブをする場合、高速道路のSA・PAの充電環境整備は進んでいます。しかし、電気容量の多い急速充電設備の設置がもう一歩といったところです。ユーザーの不安を払拭するにはここもポイントのひとつです。
電気自動車の導入を検討している方であれば、メリット・デメリットをきちんと把握し、日常生活の中でEVをどう活用したいのか(日常使い、長距離運転)をよく考えた上で、最適なEVを購入すれば、あなたの今後のカーライフがよりいっそう楽しくなることでしょう。
ゆえに、今後は続々とEV車が世の中を席巻してくることが予想されます。あなたが今ほしい、乗り換えたいと思った時が買い時です!!